« 水栽培 | トップページ | 夜の散歩 »

2010.11.25

インクルージョンっぽいはなし

最近 インクルージョン=統合保育・教育 に関する意見を多く拝見する機会があります。参考になるかどうかはわかりませんが、我が家の「交流授業」を通してのちょっとした体験 をまとめてみました。

現在、肢体不自由特別支援学校に通う息子のKoki(6年生)は、地域の小学校へ交流授業に参加しています。横浜市には「副学籍」という制度があり、本学籍は支援学校、副学籍は地域の小学校に置くという形式になっています。なので副学籍校へ参加するのが当たり前的な感じ。(やる やらないは親の判断)

交流の話を頂いた1年生の当時、私自身、消極的でした。 が、先方の地域校が積極的だったので、遠足や運動会、地域探検などの行事、総合の授業に参加、つつがなく1年生、2年生の間は 「地域にこんなお友達もいたんだよ」的に 仲良く過ごす・・・そんな感じで過ごしてきました。

交流を通して仲良くなり、2年生からは、放課後支援事業にも参加することとなり、いっそう、近所でも声をかけてもらえたり、交流の成果を実感していました。

・・・のですが、

「Kokiくんは なぜ 歩けないの?」 という質問がいつもありました。

3年生が近づくにつれ、質問はさらに的を得てきて

「なんていう病気?」「それは生まれつきなの?」

「クララが歩けたように、Kokiくんもいつかは歩けるようになるの?」 

と言う風に変化してきました。夫といろいろな話をし、夫婦2人で
「これはチャンスかもしれない・・・」と感じ、Kokiの障害についてトータル的なお話を子供たちにさせてもらえないか・・・と学校に申し入れました。

学校は、快諾して下さり、夫がプレゼン形式で行うことにして、資料を作成しました。 

かなり、画像が悪いですが どんなものだったかご紹介します。

1ページ目  「ありがとう!」の気持ちを表すことから・・・交流授業のスナップ写真・・・いつも Kokiの周りにみんなが群がってくれている写真を散らして・・・

2ca11a88s_2

2ページ目 文章は、子どもたちに語りかけていると思って下さいね。

男の人はこういうの 得意よね 笑  会社で慣れているせいかしらね。

今日はKoki についていつも尋ねられることに答えるよ! 

544279aes

3ページ目

「Kokiの病気の名前は何?」 と 聞かれれば 「脳性麻痺」という病名です。

でもね これは 病気とはちょっと違うんだ。

E459f4a6s
4ページ目

病気って治るよね?

ところが この 脳性麻痺っていうのは 治らないんだ。

例えば・・・

戦争に行って 鉄砲の玉に当たりました。腕がなくなりました、事故で足がなくなってしまいました。その腕や足ってまた生えてくるかな? 

「生えないーーー」

「障害」って それと似てるんだよ。無くなった手足が生えてこないのと同じで、Kokiの足が治ることはないんだ。

だから 一生 そのままで生きて行くことを「付合っていく」 って 言うんだ。

 

44df7336s
5ページ目 

じゃぁ、Kokiは なんで そんなことになっちゃったの? って思うよね。

みんなは約10ヶ月お母さんのお腹の中で生まれてくる日を待つよね。

ところがある日ね

妊娠7ヶ月の時・・・

Dsc01621_3

6ページ目

原因不明のウイルスがやってきたんだ

Dsc01624_2

それで とても具合が悪くなった。 このままお腹の中に居ては Kokiも お母さんまで死んでしまう! ということで 手術をして 生ませることにしたんだ。

7ページ目   生まれた時の画像

これがその時のKoki だよ。

まだ 体が完全に出来上がっていないし、ウイルスにやられてしまっていて 体の状態が悪く、呼吸も自分ではできずに機械で酸素を入れてる。他にも薬の管、心電図の管、いろいろなものにつながれているね。

実はお医者さんにもう 「今晩 死んじゃうでしょう」って言われたんだよ。

3年生のこどもたちには ちょっと怖いかな?と思ったけれど しっかり見てました。

Dsc01625_2

8〜9ページで 仮死状態とからめて脳性麻痺のメカニズムを説明・・・。 

人間の体が動く時は全てが脳から命令が行くんだ。そして、手足が動く・・・

Dsc01626

Dsc01628

ところが、生まれた時にいろいろとあって、脳の細胞が一部、壊れてしまった。

だから、ちゃんとした命令が行かなくなってしまったんだ。 

それが歩けない原因であり、他にも お話がはっきりできない、手も動きにくい いろいろと難しいことがある。

「でも Kokiくんの手は動いてるジャン」

「実はね・・・ 手首を返すことができないんだよ。 手首を返すっていうのはね、ほら、『お金、ちょうだい!』っていう時の手の形!」 

これが やたらウケて みんな やってました。笑 お互いに

「お金 ちょーだい!!」

10ページ目からは 肢体不自由児特別支援学校のことを紹介。

Dsc01605

Dsc01606

スクールバス、給食、クラスのお友達と活動している様子や自立活動の様子等も紹介、興味深そうに見ていました。

今回 ここには掲載できないんですけど。

さて、Closingです。

どういう風に〆ようか・・・とずっと夫婦で考えてきていました。 

「Kokiのことをわかってね」 「障害児に優しくしてね」

そればかり押し付けるのはやめようと決めていました。

「障害を持つお友達を見ていていつも思うことがあるんだよ」

Dsc01630

みんなはきっと 「あたりまえに生きている」と思う。手が動いて、歩けることができて、食べることができて、お話ができて。

実はこれは 奇跡のようなことなんだ。 

Koki達は 本当に生きることに一生懸命なんだよ。 その一生懸命さは きっとみんなには負けてない、いや 障害を持つ子ども達はみんなより、もっと一生懸命かもしれないんだ。 これって すごいことだよね。そう思わない?

「思うーーーー」の大合唱

Dsc01631

みんなはKokiと2年間、一緒に過ごしてくれて、いつも優しかったね! 

みんなは本当に優しいね。 ありがとう! Kokiのお父さんもお母さんも本当に嬉しいです。

次は これから、もし、町の中で 車いすの人が困っていたら・・・是非、声をかけてあげてほしい。そして  車いすの人だけじゃなくて、おじいさん、おばあさん、もっと他の障害を持つ人、ベビーカーのお母さん・・・ そういう人たちにも気がついて、Kokiに接してくれているように声をかけてあげてほしい。

そういうことができる人は きっと 立派なおとなになっていくと思います。

立派なおとなが増えると きっと もっともっといい社会になると思います。

是非 元気に産んで育ててくれたお父さん お母さんに感謝して、立派な大人になってください。

Kokiが 障害を持ったことは不運でした。でも Koki達は不幸ではないと思っています。

Dsc00043

だって、毎日 一生懸命に生きて 本当に楽しくて Happy なんですよ。ホラ。 ↓

Dsc00050_2
♪ I was born to love you~ ♪ のBGMをちょっと流したりして・・・

「ありがとう、これからも ずっと よろしく!!」 

その後 子どもたちから 歌のプレゼントがありました・・・

Dsc01642_2

こんな歌があるんですね・・・

・・・ というような授業となりました。どんな受け止め方をしてくれたのかはわかりませんが、何人か手をあげ 感想をくれました。

この授業の後・・・

 

夫のプレゼンテーションを聞いて下さっていた校長先生 担任の先生 養護教諭の先生・・・は

「私たちも知らないことばかりでした」「わかりやすかったです」

「脳性麻痺ってそういうことなんですね・・・」 なんて 言っていただいた。

養護の先生もご存知ないのね? 笑 意外でした。

この授業以降、子どもたちからは

「なんで歩けないの?」という質問は一切、聞かれなくなり・・・代わりに 

「Kokiくん これはできる?」

「こうやったら やりやすい?」

そんな声かけが増えてきました。

また あとあと 思わぬ副産物として、ご近所の方から 

「この前 学校でKoちゃんの生い立ち聞いたって 子どもが言ってました。で、横浜駅で、車いすの人が電車を降りる時 お手伝いしたんですよ・・・」

なんて言って下さったのです。

大人にわかってもらうには まず、子どもから・・・というのもひとつかもしれません。 子どもはきっと 親御さんに話てくれますもんね。

たぶん 小学校3年生という割といろいろな理解が進んでくる年頃だったのと、思ったことを素直に受け止めてくれる年頃・・・などがうまくクロスオーバーしたかな。

一方 年子で地域校に通う妹。 妹のお友達は Kokiのそんないきさつは知らないので、今でも

「なんていう病気なの?」と 聞いてきます。笑

おうちで一緒に遊んでいる時などは 限界を知らずに ガンガン 一緒に遊んだりして ひっくり返っちゃったりして、

「これは無理だったね〜」 と、体で理解を得ているようです。

プレゼンテーションを見せた学年のお友達は Kokiに 決して無理は強いない、とってもジェントルな態度です。

どっちがイイってことはなくて、どっちもイイ。

いつも思うこと。

インクルージョンは 自分の為ではなくて みんなの為のものであってほしい。

肢体不自由の人にも 知的の障害の人にも、目や耳の不自由な人にも、老人にも、子ども連れのお母さんにも、大きな意味では、ひとりおやの人にも、そしては 動物にも、究極は自然、大地や海へも 社会からの優しさを。

みんなに優しい社会は もちろん 障害者にも優しいはず。 

私って 怪しいね〜 笑 

かなり怪しく ヘンに聞こえるかもしれませんが、このことは、5年前 オーストラリアで1ヶ月過ごした時に ふと思いました。

こちらにまとめてあるのでよろしければご覧下さい。

2005 夏休み オーストラリア滞在記 
バリアフリー考 → リンク 

肢体不自由児を育てていて 病名は脳性麻痺であっても 誰一人として同じタイプの障害児を見ることはありません。

それぞれが それぞれのステージでなにかひとつ 周囲の人たちに知ってもらうことができたなら・・・ 実際 私なんかは 医療的ケアのお子さんの事を全然理解できていなかったりするわけですから・・・

少しずつ 世の中 変わって行くような気がしないでもないぜよ 笑 

究極は 障害者 ぜーんぶ・・・ 肢体も知的も盲ろう、一緒になって声をあげていけば (健常者から見れば みんな 単に「障害者」ですからね 笑)

さらに もっとニッポンの福祉が変わるがじゃ! と思う。

うちは知的だから・・・(肢体のことは関係ないわ)とかうちは肢体だから(知的のことはわからない・・・) と お互いを線引きしてる状態じゃない! よね。

・・・龍馬伝 見過ぎですかね 笑

インクルージョンは みんな違う舞台。 社会に直面する最初の現実であり、壁かもしれません。障害児を授かって こんなことを考える機会を与えられていると思ったら・・・
なんだか わたしたち 障害児の親として ヤル気がわいてきませんか?笑

お互い がんばりましょう〜!


 


 

|

« 水栽培 | トップページ | 夜の散歩 »

・むすこ.ちょっとしたこと」カテゴリの記事

・むすこ.特別支援学校生活」カテゴリの記事

コメント

変らんといかんとですっ
心のバリアリーフ推進運動♪
子供って素直よね~時に残酷だけど。
お互いええ経験やったね。
素晴らしいわ、けいけい一家(*´ -`)(´- `*)ウットリ・・・

投稿: ふぢ | 2010.11.25 22:10

このプレゼン。
1学校・1学年だけでなく、TV放映とかで全国に流して欲しい内容やったな。(^-^)

障害。を説明できずにただ蓋をする大人。
子供には意味がわからなくて、そういう子が大人になっていく。。。
心のバリアフリー!これは素直ななにもない状態で、そのままを受け入れた子供が大人になって、その子供に伝えていく。
それでないとホンマの意味のバリアフリーにはなっていかんのやろうな。

ハード面、ソフト面、どっちも障害者に優しい。ってのは結局は健常者にとっても芯から優しい!ってことに早く気がついて欲しいな。(^^)

投稿: みっちゃん | 2010.11.26 07:17

私もこの内容は全国で流して欲しい。
お役所が作るものより とっても解りやすくて優しくて心に響く(ぽろぽろ)
オーストラリア滞在記も懐かしく再読させてもらいました。
上のおふたりのコメント ほんまにそのとおりやね。

投稿: 黒糖 | 2010.11.26 23:17

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/540912/50128782

この記事へのトラックバック一覧です: インクルージョンっぽいはなし:

« 水栽培 | トップページ | 夜の散歩 »